あまり馴染みのない病気名の「起立性調節障害」、自分の娘(中学生)がどうもこの病気にかかってしまったようで、どんな病気なのか気になって調べてみました。
ネット上のキーワードでは、原因、食べ物、愛情不足など気になるワードがありますね。また、その治し方や専門医の情報もありましたので、まとめて見ていきましょう。
「起立性調節障害」ってどんな病気なの?
自律神経失調症の一種として、「OD(ドイツ名: Orthostatic Dysregulation)」と略されて記述されています。
よく見られる症状
こんな症状が見られるようです。
- 朝に起きられない
- 立ちくらみ
- 全身倦怠感
- 食欲不振
- 立っていると気分が悪くなる
- 失神発作
- 動悸
- 頭痛
- 夜になかなか寝つけない
- イライラ感・集中力低下
これらの症状が2つか3つ以上該当するようであれば、起立性調節障害を疑ってみる必要があります。私の娘は、失神発作、動悸以外はすべて当てはまっていました。
よく見られる年代
起立性調節障害は、小学校高学年(10歳程度)から中学生・高校生(16歳程度)の思春期前後の子どもでよく見られるようです。
日本の小学生の5%、中学生の約10%にみられ、重症例は1%だそうです。
男女比は1:1.5~2と報告されています。
女性のほうがかかりやすい疾患のようです。
また、不登校の約3~4割は起立性調節障害をともなっているという報告(一般社団法人日本小児心身医学会編『小児起立性調節障害診断・治療GL(改訂版)』(南江堂))があります。
この疾患になると普通に学校へ登校できなるので、結果的に不登校になってしまうのはわかりますね。
「起立性調節障害」の原因はなに?
「起立性調節障害」の原因として考えられているものの1つは、体内時計のズレです。
体内時計(概日リズム・がいじつリズム)が5時間程度うしろにズレていることから午前中に交感神経が活性化しておらず、夜間に交感神経が活性化するため、夜寝付きが悪くなりやすくしっかりと睡眠をとることができない状態になりやすいようです。
娘をみていると夕方になるととても元気になるというかいわゆるテンションがあがる傾向がありました。まさに体内時計がズレている状況です。
また、約半数に遺伝的傾向があるようです。
一般社団法人日本小児心身医学会のページにこの疾患の原因について以下が挙げられています。
1)起立に伴う循環動態の変動に対する自律神経による代償機構の破綻
2)過少あるいは過剰な交感神経活動
3)水分の摂取不足
4)心理社会的ストレス(学校ストレスや家庭ストレス)が関与する。身体が辛いのに登校しなければならないという圧迫感が、さらに病状を悪化させる
5)日常の活動量低下→ 筋力低下と自律神経機能悪化→ 下半身への過剰な血液移動→ 脳血流低下→ 活動量低下というdeconditioningが形成されるとさらに増悪
原因を理解して、悪化させないようにしないといけないですね。
食べ物や愛情不足ではないので誤解のないように正しい知識を身につけましょう。
「起立性調節障害」の治し方・治療方法は?
起立性調節障害への理解を深める
まず、周囲の起立性調節障害への正しい理解が必要です。特に親の理解が不可欠です。その次に学校関係者と患者自身の理解ですね。
そして、その疾患の子供への過度なストレスをかけないように対応しなければなりません。
この疾患への理解が不足している保護者の多くは、子どもの症状を「怠け癖」や、ゲームやスマホのやり過ぎ、夜更かし、学校嫌いなどが原因だと考えてしまい、叱責したり朝に無理やり起こそうとして、さらなるストレスを子供にかけてしまい症状が悪化することが少なくないようです。
起立性調節障害は、身体の疾患であることを伝え、「根性」や気持ちの持ちようだけでは治らないものだと理解してもらうことが重要です。
日常生活の工夫
日常生活の中で工夫することで症状の改善、軽減が見られるようになります。
- 急な動作や不用意に立ち上がらない、立つ時は頭を下げつつゆっくりと立ち上がる。
- 立ちっぱなしを続けない。足をクロスしたり、適度に動く。
- 水分摂取は1日1.5-2リットル、塩分を多めにとる。
- 毎日15分~30分程度の歩行を行い、筋力低下を防ぐ。
- 生活のリズムを整えるようにする。夜は眠くなくても9時~10時には布団に入る。
- 無理に学校に行かせない。しっかりと休ませる。
- 親から子供への「甘え、怠け者批判」は厳禁。
我が家の経験談
水分をよくとってもらうようにしていました。
あとは、無理に学校に行かせないようにしてほぼ放任していた感じです。
学校との連携
まずは担任の先生との連絡を密にして、起立性調節障害への理解を共有してもらう。その上で登校時の受け入れ体制を準備してもらうようにしておくことが大切です。
具体的には、早退時の連絡体制や保健室との連携など。
担任の先生や学校側の対応に不安を感じたら、医師の診断書なども一緒に提出しておくことが必要かもしれません。
あまりに長期の欠席となりそうなら、その対応についても早目の相談が必要でしょう。
我が家の経験談
担任の先生が理解ある方だったので、毎日の欠席の連絡は基本的になしでOKで、遅刻して登校する場合だけショートメールでお知らせする感じで簡単に済ますことができました。
今ならLINEなどでやり取りできると親の負担も軽減されますね。
朝の忙しい時間に学校に電話するのも毎日だと結構ストレスです。
ただ、登校時間ぎりぎりでいったときやすこし遅れていったときに校門にいる生徒指導の先生に厳しく叱責されることが何度かありました。
担任を通じて、学校内で情報共有してもらっていたはずなのですが、学校という組織的な問題なのか、うまく伝わらないことが多かったです。
その都度、担任に相談して改善してもらったということがありました。
人数が多い学校だったのでなおさら情報共有が難しいのでしょう。
薬物療法
血圧を上げる薬(ミトドリン、ジヒデルエルゴタミン、アメジニウムなど)が処方されます。
しかしながら、薬だけでは効果があまりないことがわかっています。前述の親や関係者の理解、生活上の工夫などを行った上でないと薬の効果が期待できないようです。
薬はちょっとという方は、精神科医推奨サプリ「キリツテイン」というサプリメントがあります。
日本生理人類学会誌で睡眠改善効果が認められたL-テアニンを220mg配合していて、実際に飲んだ人の92.7%が午前中の調子改善したと評価しています。
我が家の経験談
かかりつけ医で紹介状を書いてもらい、大きな病院の専門医がいるところを紹介してもらいました。
そこの病院では、起立性調節障害は小児科で診察されました。
はじめは、脳に異常がないかMRIで検査されます。
とくに異常がなかったので、小児科の専門医の診察ですが、いわゆる話を聴くだけという感じです。カウンセリングに近いです。
一応薬も処方されました。
メトリジンという薬で、低血圧に伴う様々な症状を和らげる薬です。
朝1回1錠です。
この薬は必ず飲まなければいけないような薬ではないので、本人が飲んで見ようというタイミングでしか飲んでいませんでした。
治療期間
日常生活に支障のない軽症例では、適切な治療によって2〜3ヶ月で改善が見られるようです。学校を長期欠席する重症例では社会復帰に2〜3年以上かかるケースもあるそうです。
我が家の経験談
中学1年の終わり頃から発症して、中学卒業までかかりました。
中学2年の頃は、留年ぎりぎりぐらいまで欠席している状態でしたが、中学3年になって本人が高校受験をかなり意識しだしてからかなり変化してきたように思います。
体育や美術などどうしても出席日数が足りなくなると内申書にひびくものは、頑張って朝自分で起きるようにして行くようになっていました。
それでも遅刻しそうな場合が多かったので、送っていくことも多々ありました。
3年生の後半には、遅刻はそれなりにありましたが欠席してしまうことはほとんどなくなりました。
学校での友達関係も良かったこともかなり影響しているように思います。
運良くいい友達に巡り会えて、休みがちでもスマホのLINEなどでつながれていたことはよかったのではないかと思います。
中学生のスマホの取り扱いは、悪い議論も多いですが親の管理下でこどもとルールを決めて運用すればいいのだと思います。
専門医はいるの?
日本小児心身医学会の認定医と指導医が在籍する全国の病院情報が取得できるサイトがあります。こちらです。
このサイトは、2017年2月に開設された非常に有益なサイトです。お近くの起立性調節障害の専門医がいる病院情報が全国的に網羅されています。
まとめ
- 起立性調節障害は、自律神経失調症の一種。
- 起立性調節障害は、小学校高学年(10歳程度)から中学生・高校生(16歳程度)の思春期前後の子どもでよく見られる。
- 起立性調節障害の症状は、朝起きれない、頭痛、食欲不振、めまい、全身倦怠感、立ちくらみなど。
- 起立性調節障害の治し方・治療は、周囲の理解と日常生活の工夫、薬事療法が必要。
- 起立性調節障害の専門医は全国におり、日本小児心身医学会の認定医と指導医が在籍している病院情報が掲載されているホームページがある。こちら→起立性調節障害治療.com
起立性調節障害の子供をもつ親としては、この疾患への正しい理解をして、子供と一緒に治療していく覚悟が必要だと感じています。
自分の子供がこういう心身症の障害にかかると親自身が愛情不足だったんじゃないかとか、ちゃんと食事(食べ物)をさせていなかったのが悪かったのではないかといろいろと自分を責めてしまいがちですが、まったくの誤解ですのでやめましょう。
同じように起立性調節障害にお悩みの方への情報提供としてお役に立てれば幸いです。
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