お菓子の材料としてよく用いられるヘーゼルナッツですが、日本ではヘーゼルナッツチョコレートなどで名前はよく知っているという人は多いでしょう。
しかし、ほとんどの日本人がヘーゼルナッツについては知らないことが多いと思います。
例えば、
ヘーゼルナッツの木や実がどんな形なのか?
産地はどこでどこからの輸入されているのか?
国産のヘーゼルナッツってあるの?
などなど気になるヘーゼルナッツの疑問についていろいろと調べてみました。
早速いってみましょう!
ヘーゼルナッツの産地はどこ?
ヘーゼルナッツの生産地は、中央アジア~ヨーロッパ、アメリカとかなり広範囲に栽培されています。
その中でもダントツに生産量が多いのが、トルコです。
世界のヘーゼルナッツ生産量 国別ランキングによるとトルコの生産量(約51万トン)がダントツに多いです。
2位のイタリアが約13万トンですからトルコが世界No.1の産地です。
日本に輸入されるヘーゼルナッツの95%がトルコ産という話もあります(ウィキペディアの記述による)。
トルコの中でも北部にある黒海沿岸のポントスという地域が古代からの産地です。
古代ギリシア人は、ヘーゼルナッツのことをポンティックナッツ(ポントスからきた食べ物という意味)と呼んでいたそうです。
黒海東部からカスピ海に至る地域は、生産量3位のアゼルバイジャンや6位のジョージアも含まれるようにヘーゼルナッツの一大産地です。
ヘーゼルナッツの生育環境がとてもいい自然環境なんだと言えるでしょう。
ヨーロッパの主要産地は?
イタリア、フランス、スペインが主要産地です。
古代ローマ人は、アヴェッラナエ(avellanae)と呼ぶこともあったようです。
アヴェッラナエとは、イタリア南部のアヴェッラ(ナポリの北東に位置する地域)からきたものという意味です。
このイタリア南部のアヴェッラは現在もヘーゼルナッツの産地としてよく知られています。
現在は、イタリアの北西部に位置する
ピエモンテ州のヘーゼルナッツも品質が良いと評判の産地です。
トルコのポントスもイタリアのアヴェッラも古代ギリシャやローマ時代から続くヘーゼルナッツの産地です。
その当時は、ヘーゼルナッツという名前は存在しておらずその産地の名前が食材の名前そのものになっていたということです。
イギリにも産地があり、ロンドンの南東にあるケント地方が主要な産地となっています。
このケント地方では、セイヨウハシバミという種類のヘーゼルナッツも栽培されていて、実が熟す前の緑色の状態の時に食べる食文化があるそうです。
その未熟時のヘーゼルナッツの殻は、まだ柔らかくて歯で取り除きながら食べるそうです。
味は、熟したヘーゼルナッツとはまったく違って、デンプン質が多く野菜のような食感だそうです。
どんな味がするのか一度食べてみたいものです。
アメリカの主要産地は?
アメリカにもヘーゼルナッツの産地があります。
アメリカの西海岸に位置するオレゴン州が大規模な産地として有名で、オレゴン州コーヴァリスにある国立植物栄養体遺伝資源貯蔵センターでヘーゼルナッツの遺伝情報の研究・保存、病気に強い抵抗力のある種の開発、栽培をおこなっています。
アメリカでは、ヘーゼルナッツのことを「filbert(フィルバート)」(和訳:ハシバミ)と名付けられたことがわかっています。
この「filbert」の由来は、17世紀のフランスの聖人フィルバート(聖フィルベルト)にちなんでつけられたようです。
この聖フィルバートの祝祭日が8月20日で、ちょうどヘーゼルナッツの収穫のタイミングと重なることでこの名前がついたようです。
イギリスでも聖フィルバートの祝祭日(8月20日)は、ヘーゼルナッツの実が熟して収穫が始められる日として農業カレンダーになっています。
東アジアの主要産地は?
東アジアでは、中国が主要な産地です。
生産量でもアメリカに次いで5位にランクされています。
中国以外は、データがなく不明です。
商業的に栽培しているのは、中国だけだと思われます。
ただ東アジアにも自生しているハシバミがあるので、歴史的には食材として食べられていた可能性はあります。
【参考文献】
- 『ナッツの歴史』ケン・アルバーラ著、田口未和訳 原書房 2016年 p75-81
ナッツ全般の歴史的な由来などそれぞれのナッツにまつわる食文化の歴史も紹介されていて、普段何気なく食べているナッツもより味わい深くなる気がします。
国産のヘーゼルナッツってあるの?
残念ながら日本では、ヘーゼルナッツの商業的な生産・栽培は実質行われていません。
ただ、産地化を目指して取り組んでいるグループが長野県と青森県にあるようです。
長野県は、長野市上駒沢で㈱フル里農産加工を営む岡田浩史さんが中心となって100年後の産地化を目指して、2014年からヘーゼルナッツの試験栽培をスタートしています。
2018年には、世界最高峰の品質と評価されるイタリアのピエモンテ州の苗木(トンダ・ジェンティーレ種)を日本で初めて輸入して、長野の地で栽培をスタートしています。
岡田さんは、国産ヘーゼルナッツの栽培から加工販売までをおこなう6次産業化に取り組んでいて、ヘーゼルナッツの加工品を販売するお店も運営しています。
そのお店のヘーゼルナッツの生アイスは、絶品です。
生アイスなので現地でしか食べることができませんが、ヘーゼルナッツの風味が美味しすぎました。
自家栽培しているヘーゼルナッツのスプレッドも販売されています。
パンにつけたら最高です!
長野へ観光に行った際は、おすすめのスイーツスポットです。
岡田さんのお店の最新情報はフェイスブックかインスタでチェックしてください。
>>> 作りたて生アイスの店ふるフル www.facebook.com/namaice
青森県でのヘーゼルナッツ栽培の取り組み
青森県平川市にある広船アップルクラブという団体が地域のりんご生産者の所得向上を図るため、土壌病害でりんご栽培が困難な場所や急傾斜地で作業性が劣る園地などに、新作物としてヘーゼルナッツを試験栽培しながら新たな加工品づくりに挑戦しています。
まとめ
ヘーゼルナッツの産地についてみてきましたが、中央アジアの黒海の東側が古代から続く一大産地だということがわかりました。
日本に輸入されているヘーゼルナッツの95%がトルコ産というのも納得です。
ヨーロッパでは、イタリアが主要産地で現在では、北西部のピエモンテ州で高品質なヘーゼルナッツが生産されています。
国産のヘーゼルナッツ栽培は、2014年ごろから長野で始まり、青森でも始まっています。
りんごの代替作物として期待されています。
純国産のヘーゼルナッツが流通する日もそう遠くないかもしれません。
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